タカシサトウ

魔女の宅急便のタカシサトウのレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
3.9
[13歳の成長譚]

 ラストの飛行船のスペクタクルが圧巻。そして、キキ(高山みなみ)がデッキブラシで飛ぼうとする、その瞬間が息をのむ素晴らしさだった。

 また、飛べなくなるというスランプをどう乗り切るか、というテーマに関して、ジタバタしたり、やめたり、ウルスラ(キキと声が同じ人だから自分自身かも)に話したり、という示唆。その場面が短すぎるけれど、そのテーマはさすが宮崎駿だと思う。

 そして、13歳の中学1年生位のキキの成長物語として、親からの独立としての旅立ちがあったり、甘えがあったり(中1の女子が父に抱っこされるのは論外と思うけれども)。そして、家族へ居所を知らせる手紙は成長の一段階ではないかと。

 トンボとのやり取りがあまりにも幼くて違和感があったり、もう少しこちらの心に引っ掛かるものが欲しい気はしたが、なかなか良く出来ていると思った。冒頭と終わりに「ルージュの伝言」と「やさしさに包まれたなら」と荒井由実の歌を持って来るのも選曲がいいように思った。

 何人かで封切りで観たことも思い出した。その時から随分時間が経ったと思う(2021.4.18)。