カプカ

魔女の宅急便のカプカのレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
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地方から上京した少女が小さな特技を活かし働く物語を通し、思春期の言葉に出来ない苛立ちと無意識にやっていた特技を仕事にすることを意識して悩みながら成長し、今いる町を自分の居場所にするため頑張る等身大の少女を美しい街並みと飛行シーンのアニメで描いた傑作です。

キキが飛べなくなった理由について
思春期でのトンボなどへの言葉にできない想いもあるけど、ニシンのパイの子にそっけない態度をされて配達後に感謝されることが当たり前ではないという現実に悩み、自分の才能と無意識にやっていた仕事について意識的に考え直さなければならなくなったからだと思う。

そこから、ウルスラの絵についての話を聞いて仕事について考え直し、そしておばあさんのケーキで仕事も辛い事ばかりではなくちゃんと自分を評価してくれる人がいることを見て、お母さんのほうきとジジと話すことを卒業していく話なんだと思う。

本当は後に『この世界の片隅に』を撮る片渕須直が監督をやる予定だったが、スポンサーから宮崎駿を指名されたから変わってしまって
クライマックス飛行船が暴走する展開にしようとしたら「お前は何もわかってない」と宮崎駿が否定したのに結局その展開をやることになったw

『魔女の宅急便』はジブリの転換点な作品で
これが成功しなかったらジブリは解散だったので、鈴木敏夫プロデューサーが本気で売ることを考えて日テレに宣伝をバックアップしてもらったりして、ラストも本当は空は飛べないが街に馴染む所で終わる予定が、盛り上げるため飛行船が暴走する話を入れた。

クライマックスの飛行船のシーンは後から付け足した展開で
宮崎駿本人もこの話は命がけで大きな事件を解決してみんなから称賛され認められる特別な人間の話じゃないって言ってる通りテーマ的にはブレてしまうけど
それでもあのシーンのカッコよさを見るとあってよかったと思っちゃう。

『魔女の宅急便』は原作と結構違っていて
後半の展開などもあるが、アニメは小さな特技を生かし働く等身大の少女の物語だが
小説は普通の人間として生きるか魔女の血のどちらを選ぶかという話で
ジジもイマジナリーフレンド的なものではなく、生まれた時から一緒のパートナーだったりテーマが違う。

とんぼさんも原作では後半から出てくるキャラであんなに活発なキャラクターではない。

そして、初対面でキキのほうきを折るという結構な事をやらかしてるw

魔女の宅急便に出てくるペガサスの絵のモデルは八戸市立湊中学校の養護学級の生徒さんが描いた絵らしいですね。
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