坐禅マニアのフリーターの私信

魔女の宅急便の坐禅マニアのフリーターの私信のレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
4.5
労働と恋愛。ミドルクラスを代表するトンボと(例えばそれは彼の文字通りの上昇志向と、彼の家の車がフォードってことからも分かる)、アイデンティティ労働のキキ。トンボはトンボで勉強しろとか言われて辛いし、キキはキキで私は飛ぶことしか能がないのでは、とか悩む。そして絵描きは絵描きで自分の絵が誰かの模倣なんじゃないかって悩む。働いて生きることと恋をすることの美しさと苦悩がこんなにも鮮やかに描かれた映画は今までないと思う。

飛べなくなったキキが復活したのは、仕事による交換ではなくて、贈与だった。ジジやパン屋の夫婦が新しい命を紡ぐ。二人の恋もそうなるかな・・・って思いきや、エンドロールではトンボがめっちゃ必死に自転車漕いでて、批判精神が尽きていない。スポンサーはヤマト運輸です。