おときち

魔女の宅急便のおときちのレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
4.5
そういう時はジタバタするしかないよ。描いて、描いて、描きまくる。


地上波放送を録画しておいたもの。劇場で『もののけ姫』を観てきた日に、そのままの勢いで鑑賞。
『魔女の宅急便』はおそらく3回目ぐらいの鑑賞。


これは好きな映画。好きなシーンの連続。

13歳の少女、魔女の成長譚。これもまた2時間であっという間に成長してしまう。素晴らしい。
キキがジジの言葉が分からなくなってしまったのも、成長の証なんだろう。
むしろそれまで本当にジジが喋っていたのか?って思う。キキ自身の声だったのでは?と思ってみたり。(原作を読んでる娘に言ってみたら、そういうわけでもなさそうだったけど)。


オープニングで「ルージュの伝言」が流れるタイミングが好きだ。
海や空、少し濃いめの青も好き。
鉄道、自動車、テレビといった近代文明と魔法が共存している世界が好き。あの溶け込み具合、絶妙。魔女=能力を生かした仕事っていう位置付けも面白い。


前回この作品を観たのがいつだったかは忘れてしまったけど、当時に比べ、娘も劇中のキキと近い歳になった。
旅立つ前のキキが父親に「ねぇ、高い高いして」とお願いするシーン。だめだ、泣いた。
キキを抱えながら「いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだろう」と言う父親。泣ける。いや、泣いた。「大きくなった」わけじゃなくて、ほんと「大きくなっちゃた」んだよなぁ。

「うまくいかなかったら帰ってきていいんだよ」。いつか何かあったら娘に言おう。
過去に観た時はこんなこと考えなかったけど。


優しい世界。おソノさんも旦那さん(グーチョキパン店って名前)も、トンボも、時計台のおじさんも。キキが鳥かごと猫のぬいぐるみを届けに行った家の犬、ジェフも。
ウルスラも優しい。優しいけど、キキに対するメンターでもあり。キキとウルスラの会話はとても好き。どっちも高山みなみだけど。よく考えるとすごいよな。意味的にも。自分自身との対話みたいで。


「描くのをやめる。散歩したり、景色を見たり、昼寝したり、何もしない。そのうち急に描きたくなるんだよ」

ここに尽きる。これも心のメモ帳に残しておこう(いつか使おう)。


『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』を劇場で観てきて、大きいスクリーン、音響、他に何もない暗闇での没入感って最高だな、と改めて思ったのでこの『魔女の宅急便』も劇場で観たかったな。