小石川

16歳の合衆国の小石川のレビュー・感想・評価

16歳の合衆国(2002年製作の映画)
4.1
誰が何を言おうと変わらない事実、起きてしまったこと、現状…それに対して行われる数々の言動、同情、涙、たくさんの言葉、書かれた小説、何も心配いらないというセリフ…無力だと知っていても多くの人はそれにすがり、救われたような気持ちになることができる。
その一方で、いつかその救いが終わり、また自分が静かで暗い現実に戻ることもわかっている。この作品を観て考えたことは、どちらに慣れ、どちらを受け入れていくかということだし、だからこそ本当の救いとは何か、本当にその人に対してすべきことは何か、ということを、真摯に考えて実行することができるかということだった。
みんなが自分のできることを精一杯やって誰かを救おうとしている。でも、救われたと思っている人と救えたと思っている人と救われなかったと思っている人と救えなかったと思っている人、みんながすれ違ってしまってとても悲しい作品だった。その悲しみが、純粋さが、描かれているというだけで無二の作品だと感じた。
誰かに対したとき、自分も真摯でありたい、その人のためにすべきことをうわべでなくできる人でありたいと、心の中に留めておきたくなる作品だった。
小石川

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