メタ壱

あの頃ペニー・レインとのメタ壱のレビュー・感想・評価

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)
3.8
厳格で変わり者の母親に育てられたウィリアムは姉の影響でロック・ミュージックに強い関心を持ち15歳で音楽誌のライターとなる。
そうして人気上昇中のバンド、スティル・ウォーターのアメリカ横断ツアーの密着取材をする事になるが、そこでウィリアムは彼の人生にとって掛替えのない様々な経験をする…というお話。

本作は監督キャメロン・クロウの半自伝的な作品との事。

なんて表現したらいいのか判らないので、簡潔に一言で言うととてもエモい作品。

ロックバンドの何かのタガが外れたような世界は肌に合わないし、ペニー・レインという女性もただのミーハーな人間にしか見えないし、ウィリアムが体験したツアーでの様々な事は、虚栄に満ちた仮初の世界にしか見えません。

だけど、そこには間違いなく“人間”がいたと思うのです。

そんな世界とは正反対の生活を送ってきたウィリアムは言ってみればロックバンドの世界では異質だし、本来なら水と油ってくらい別世界の人間。

だけど音楽というもので両者はやっぱり繋がっていて、だからこそ15歳という年齢のウィリアムにとってはきっと人生の中でも忘れる事の出来ない経験になったのだと思います。

とても昔の、良くも悪くもない、ただ忘れられない出来事を思い出すような、そんな感覚になる作品でした。

そして、この内容の作品に『あの頃ペニー・レインと』という邦題をつけるセンスが最高にエモい。
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