こたつむり

あの頃ペニー・レインとのこたつむりのレビュー・感想・評価

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)
3.8
♪ 僕らの大きくってすいません号は
  おんぼろ ポンコツ 青いバス
  いつでもモクモク 煙吐いて
  僕らを旅に連れてった

ノスタルジー、もしくはキャラクター。
所謂、青春映画と呼ばれるもので最も大切なもの(と僕は考えています)。

そして、本作が舞台としている70年代前半。
この時代に郷愁的な気持ちを抱くには、僕は若すぎるわけで(正直なところ、僕の親世代がど真ん中)。

そうなると本作を楽しむにはキャラクター。
この部分に掛かっているのですが…うん。これは本当にど真ん中。というか、キャスティングの勝利も勝利、大勝利。強豪校が一方的にボコるレベルで振られる大漁旗。

その名はパトリック・フュジット。
17歳?16歳?ノンノンノノン15歳なんて口ずさみたくなる若々しさ。賞にノミネートされたのはケイト・ハドソンの方でも、それは彼が居たから為し得たロケット的なジャンプ。

物語なんて単純だぜ、と嘯きたくなるのも当然。だって、ロックバンドのバスツアーに同行する少年(但し、一応、音楽評論家、その端くれ)を描いただけ。「だけ」なのに。青春のすべてが詰まっている不思議。フシギダネ。

それは全部を肯定して、全部を否定しないから。誰だって何かを語りたいもの、謡いたいもの。映画を観てタカタカとタイプしている僕も同じなんではないか、とジワるからこその体言止め。いぇい。

まあ、そんなわけで。
まああああ、そんなわけでえええ。
歌を聴き、唄を愛し、詩に揺れるならば観賞しても後悔しない逸品。こういう青春映画を恥ずかしげもなく真正面から描けるからハリウッドはハリウッドなんだな、なんて評論家っぽく頷きたくなるのも仕方なし。

最後に余談として。
車でゲートをぶち破る…これはアメリカ映画の定番ですけども。いつもいつも破られる“錠前”の気分になると少し悲しくて。錠前が錠前として生きる道は誰かを防ぐこと。それが出来ない錠前は飛べない錠前。果てしなくレイニーブルー。
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