本当に最高。
姉が自分の愛する音楽を部屋に隠し、「ベッドの下で自由を見つけるのよ」という言葉と共にそれを弟に託して家を飛び出すシーンからもう泣いてしまった...
そうして知ったロックを聴きながらも、教育ママに育てられた主人公が、ロックライターを目指してロックバンドのツアーに同行する。
でも、愛するロックが生まれる場所は綺麗じゃない。
「どうしようもないロックやバンドを心から愛するってことは、自分もズタズタに傷つくってことなのよ」
「偉大な芸術は、罪悪感や憧れから生まれる。そこにはいつも愛やセックスが絡んでるんだ」
現実を知ってもなお、知ったからこそ、それでも愛するものについて正直に語りたい、という主人公の情熱が、とってもよくわかる...
誰もいないフロアでひとりダンスを躍るペニー・レインの表情とか、とんでもない大げんかの後で合唱する「Tiny Dancer」とか、ふとしたときに爆発する不安が人を傷つける言葉になって出てきてしまったりとか、本当に切なくて痛い瞬間がたくさんある。
人を幸せにする芸術の、その渦中で生きるということは決して楽じゃない。
作品の客観的な良し悪しを超えて、自分の人生にこの映画があってくれて本当によかった、と思うことがたまにあるけど、これはまさしくその体験。