このレビューはネタバレを含みます
ペニーレインの近づけない魅力。奪われたくなるでしょう、誰でも。
終盤のキスシーンがたまらなく良い、ドラッグでほぼ昏睡状態のペニーを抱き抱え、愛を告げる。
足はだらんとしてペニーの意識がほとんどない状態と、ウィリアムの愛するという強い意志の対比。
駆けつけた医者にペちペちと頬を叩かれ、唸るペニー、
そこで流れる「My Cherie Amour」
ふたりの場面はほとんど一瞬であり、意思疎通もくそもありません。それでいて愛が外側から深彫りされたような衝撃、ふたりにとってそれは全部どうでもよくて、それでいて、たしかに伝わってくる人間臭さ。
堕落や愛や悲しみや、様々の要素が合わさったこの場面は誰もが見るのを躊躇うべきだしそれでも私は見るのを薦めるべき。
絶望とは諦めと哀しみがぐじゃぐじゃに入り混じったカオスだと思う、それはそれでいいと思う。この映画を観なくてもいいと思う。ふとあの頃ペニーを思い出すのも誰かの勝手だと思う。