どこまで夢か分からなかった。
一歩踏み出したら、世界は一新していた。
15才。
その透徹な眼差しは危機を迎える中堅ロックバンドに一陣の涼風をもたらす。ウィリアムの真摯な姿勢はメンバーの懐に至る。
沸き立っていたのは苛立ち。お金や汚れから目を逸らす大人というやり口。
それでもウィリアムは動じない。目の前で起こる出来事を冷静に咀嚼していく。その真なる強度の前に、メンバーの口から本音が落ちてくる。
強さとは弱さの磁場。
バンドの結束やファンの熱さもウィリアムの青春のように儚く、脆い。絶えなる憂愁と連なる影絵。
そしてペニー・レイン。
君の視線はいつもラッセルのもので、僕はいつも嫉妬しながら、その熱意と憧れに共振していたよ。ロックスターとの架け橋、震えるような経験。内なる熱狂は僕らだけのものだった。置き土産のトリックには感謝している。
新たな風を感じるんだ。
まだ見ぬ何処なる場所から。