空海花

サン★ロレンツォの夜の空海花のレビュー・感想・評価

サン★ロレンツォの夜(1982年製作の映画)
3.8
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟を初鑑賞。

兄弟自らが体験した「サン・ミニアート村の虐殺事件」を題材にした、彼らの代表作。
聖ロレンツォの日の夜は
愛する人のために流れ星に願いをかけると叶うという言い伝えがある。
その夜に、母親が愛する我が子に聞かせる昔話として始まる寓話的手法。
語り部は母の当時の姿、6歳の少女である。

1944年終戦間際、北イタリア、トスカーナ地方。
ドイツ軍と元ファシスト(黒シャツ隊)
連合軍とレジスタンスが権力奪取を繰り返していた、もっとも複雑で混沌としていた時期である。
サンマルティノの村の住人はそれでもどことなく陽気で、もっと言えば呑気な空気感さえある。
だが、ドイツ軍がパルチザンの活動に対する報復のため爆撃を予告。
村人たちは身を守るために教会に集まる。
しかし、ここで近くにいる筈のアメリカ軍に助けを求めようというグループと
教会に残るグループとで村人は二分することに。
言い出した老人ガルヴァーノと共に
少女チェチリアと村人は命を賭けた脱出の旅に出る。

新婚夫婦やパルチザン、反ファシスト
その家族、親子、友人など登場人物は細やかに描かれる。
新しい名前を考えさせるのは秀逸。
覚えやすいし面白い。
ふくろう🦉もじゃもじゃ🌀

チェチリアの目を通した風景は、
時にお伽話の様相を呈す。
より目👀
聖体のパン
黒い衣服、鍵、卵
天気雨🦊
争いの悲惨さは、昔々~のローマ時代の戦争に置き換えられ
アメリカ人とはにらめっこをする。
ファンタジーと現実と隠喩の応酬。
これはそこかしこに散りばめられ
ラストシーンを経て、観終わってからどんどん繋がり、うわぁとなった。
これらが巧い対比となり、強烈なインパクト。
ロング・ショットと紙芝居のような映像美もすごい。
主観も単純に少女目線だけではなく
頻繁に登場人物を行き来する。
少し注意して観た方が良いかもしれない。


タヴィアーニ兄弟は実際の事件の後
家族が財産を失い、ピサに引っ越し
そこで映画に出会う。
チェチリアも家がなくなったらフィレンツェに引っ越せばいいと無邪気に言う。
だが、いざ爆撃の音を聞くと
懐かしい思い出が溢れて悲しみを覚える。
チェチリアはタヴィアーニ兄弟の投影であり
ガルヴァーノは反ファシストの弁護士であった彼らの父がモデルのようだ。
心の声は彼女たちだけではない。
耳の記憶は言葉にはならず
永遠に残るものだ。

寓話の真骨頂は、おまじないのわらべ歌。
母となった彼女もその歌を歌うが
その理由に思いを馳せて、胸が締め付けられたし、愕然とした。


2020自宅鑑賞No.50/total159


前から気になっていてClipしていましたが
フォロワーさんのおかげで見逃さずにすみました💦
ありがとうございます😘

うわぁ~😱がすごかったです(笑)
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