抹茶マラカス

アメリカン・ギャングスターの抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

4.2
ギャング2夜連続。30年代のアメリカのパブリック・エネミーはギャングだが、60年代は麻薬王と汚職警官。デンゼル・ワシントンは麻薬王やって、「トレーニング・デイ」で汚職警官になって、「イコライザー」で汚職警官を処分する側に回るのでどんどん聖人君子に近づいてないか。
 のし上がっていく麻薬王フランク・ルーカスの一代記としても楽しめるし、それを追いかけるラッセル・クロウが演じる完全な正義の人、聖人の物語としても楽しめる。両者がようやく交わり始める中盤まで少々退屈だが、そこまではフランクの麻薬ルートの開設や家族系の話で持っていける。
 マジで米軍が密輸ルートに使われてたことと、警察官の汚職っぷりは驚きだが、この映画はただのギャング映画では無い。終盤、両者が相対した時にこそ今回の映画のテーマが堂々と語られれるが、ルーカスは旧時代のマフィアが支配するニューヨーク、ひいてはアメリカを脅かす黒人実業家の象徴であった訳だ。2007年に描かれたこの世界観、恐怖はトランプ政権誕生の底にあるのかもしれない。