LalaーMukuーMerry

夕陽のガンマンのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)
4.1
のっけからとても印象的なシーン、そこに流れる音楽がこれまたすごく印象的でいいですね。これだけでグッと入っていけます。いわゆるマカロニ・ウェスタンの代表的名作。西部劇なのにイタリア映画(チャンバラなのに台湾映画かい!みたいな・・・)。そしてロケ地はスペイン、アルメリア地方。
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クリント・イーストウッドとリー・ヴァン・クリーフが演じる二人の賞金稼ぎが、銀行強盗団の無法者たちを退治するお話。西部劇に不可欠な銃の名人の凄腕ワザや、早撃ち対決などのシーンが、遊び心をもって印象的に作られています。拳銃、ライフルなどの道具へのこだわりも相当なもの。ニヒルで無口な主人公、特にクリント・イーストウッドに、その昔男たちが惚れたのも分かる気がする。
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さてこの話は一体いつ頃の時代なのだろう。舞台のエル・パソはカリフォルニア。アメリカがカリフォルニアをメキシコから手に入れたのが1840年代の終わり頃(ゴールドラッシュの頃)だから、それよりは後の筈。ヒントになるのは作品に登場する(1)鉄道、(2)電信技術、(3)ダイナマイト。意外と20世紀に近い頃のような気もする。フィクションなのでまじめに考えることではないかもしれないが、きちんと時代考証して作っている筈だという前提のもと、ちょっと調べてみた。
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(1)鉄道
アメリカの大陸横断鉄道は、ユニオン・パシフィック鉄道(東から西へ建設)とセントラル・パシフィック鉄道(西から東へ建設)が中心となって線路の建設が行われた。両方の会社の設立が1862、1861年で、東と西がつながったのが1869年。南北戦争の後。
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(2)電信技術
モールスがワシントン-ボルチモア間40マイルでモールス信号の伝送実験をしたのが1844年(意外と古い!)。1851年には既に列車の運行を電信で決定するウェスタン・ユニオンという会社ができていて(もちろん東海岸)、電信は南北戦争では軍事作戦で重要な役割を果たした。そして大陸横断鉄道がつながったとき、電信で “done” と全国に送られたらしい。鉄道より電信の方が先だったのですね。
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(3)ダイナマイト
ノーベル賞の生みの親、スウェーデン人のノーベルがダイナマイトを発明したのは1866年。ノーベル賞というと20世紀と短絡的に感じてたが、ノーベル自身の発明はずっと昔だったのですね。とても敏感な爆発物ニトログリセリンを安全に扱う技術を見つけ、雷管も発明して爆発をコントロールできるようにしたのです。
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3つのヒントからこの作品の時代背景は1860年代の終わり頃から70年代初め頃、それより前はありえない、というのが私の結論です。明治維新の頃やな!