滝和也

夕陽のガンマンの滝和也のレビュー・感想・評価

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)
4.3
荒野を行く馬上の男
響く銃声…。
崩れ落ちる男…。
超望遠で撮られたカットに
被る口笛。モリコーネの
哀愁棚引くスコアにのり

クリント・イーストウッド&
リー・ヴァン・クリーフの
バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)のクール且つハードな活躍を描く傑作!

「夕陽のガンマン」

圧倒的な格好良さ!なんと素晴らしい!これを傑作と呼ばず、何とする!撮影、構成、脚本、演出、音楽ともに隙のない展開。セルジオ・レオーネの正に代表作ですね。

ストーリーはシンプル且つハード。クリント演じる名無し、クリーフ演じるモーティマーの二人の賞金稼ぎが脱獄したジャン・マリア・ボロンテ演じる賞金首インディオを狙う展開。インディオには大量の手下がおり、簡単には手が出せない。しかも彼らは西部一の堅牢な銀行を狙っており…。

前半の構成がまず素晴らしい。それぞれ三人の特徴、強さを巧みに描き出し作品に引き込んでくれる。老練で用意周到且つ知性のクリーフ、若く早撃ちで野性のクリントの活躍を描き、印象付ける。その後、それに対する悪辣且つ強さを持つ敵を描き出す事で巨悪に対する無類・無頼のガンマンの対決構造が浮き上がる。またその演出すべてにキレがあり、格好良さが半端ないと来ている。

二人の無頼なる賞金稼ぎの出会いも、その特徴がうまく活かされ、同等の力を持つ均衡が生まれる。常に緊張感が二人の間にもあり、決して相棒でない関係がまた話に捻りを加えていく。

そして銀行襲撃。追う二人。この辺りまでは完璧。ややこの後、後半捻りが効き過ぎて展開がダレるものの、ラスト近くの因果を含めた展開、そして決闘へ続く終盤は最高レベルの格好良さ。ラストの二人のニヒル且つ余裕のある表情は忘れられませんね。

セルジオ・レオーネのカット割は顔、銃、手、周りの人など次々と映しながら、緊張感を煽り、時にヒキのカットを利用してそのキャラの佇まい、世界観を印象付けており、画面に引き込まれますね。

そして何よりもエンニオ・モリコーネの音楽の素晴らしさ。その哀愁棚引くメロディは思わず口笛を吹いてしまいます(^^) 別スコアでオルゴール付金時計から出るメロディがあそこで被る演出も相まって更に印象深いです。

この音楽で思い出したのですが、ハードな展開、悪が悪として描かれ、寄る辺なきものが始末するこの展開。日本で受け継がれています。正に必殺シリーズそのもの。音楽なんかそっくりなスコアありますし。棺桶の錠のテーマかな。アップテンポになってますが。ただ必殺が好きな私にはこの作品はドンピシャでハマる訳です。

イーストウッド&リーフの格好良さ、ニヒルさ、そして痛快さに酔える傑作ですね。なんで今まで見てなかったんだろうと後悔した傑作です。これは見てない方にはオススメです!
滝和也

滝和也