けんたろう

夕陽のガンマンのけんたろうのレビュー・感想・評価

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)
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算数が得意な賞金稼ぎのおはなし。

やはりモリコーネの音楽はいいし、イーストウッドは画に映える。


それから、イーストウッドとヴァン・クリーフが互いに出し抜き合いながらも、互いにガンマンとして認め合うのは観ていて面白い。仲間とは呼べず、かといって敵では決してない、その持ちつ持たれつの関係は妙にいい味がするのだ。

一方でヴォロンテ扮する敵は、前作『荒野の用心棒』の敵よりも魅力的に映る。
同じ役者、同じ強盗犯、同じギャングの頭…あらゆる要素が重なっている両者ではあるが、その様相はまるで違った。
これは、今作の敵インディオが悲しい背景を抱えていたためなのか。理由は分からぬ。


と、ここで異変に気が付く。
女が殆ど登場しないのだ。
いやたしかにホテルの女将などは女であった。だがヒロインというヒロインは始めから終わりまで不在である。
この女という性質を極限にまで排除した物語に違和感を覚えるが、最後の勝負を見ればそれには納得せざるを得なかった。

三人の男の結末。
なるほど、これ以外にはあるまい。


まぁ正直に言って僕は前作『荒野の用心棒』の方が好きである。だが、今作『夕陽のガンマン』は前作では与えられなかった教訓を得られるため、今作もまた素晴らしい作品である事に間違いはない。ちなみにその教訓とは、算数の重要性のことである。