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泥棒成金のkyonのレビュー・感想・評価

泥棒成金(1954年製作の映画)
3.5
宝石泥棒の汚名を着せられ、汚名返上のために動く元宝石泥棒の男。そんな男に惹かれ、挑発するように彼を誘い追うブロンド美女。ヒッチコックだなぁ笑

これでグレース・ケリーの出演作品、メインは制覇したけど、やっぱり彼女のキーワードはエレガンス、知性、勝気、な女性像。

追ってもらわなきゃ嫌、待ちたい、なんて彼女のキャラにはないのよね、好きなら誘うし、追うし、伝える。これはグレース・ケリーが美女であればあるほど、面白くなって、追う必要のない女性が追う姿って自信と挫折、どちらも内包してる。

ここでも、最初ケリー・グラント演じる元宝石泥棒の男は、次捕まると終身刑になるから、自分のことで精一杯だし、あまりグレース・ケリー演じる富豪の娘に興味を抱かない。

でも部屋に戻るときグレースから突然キスするんだよね、そりゃあんな美女に迫られたら惹かれるだろうなんて思いきや、男はある時点になるまで誘いに乗らない笑

そのときのグレース・ケリーの嫉妬やむっとした言い草はケリーのキャラになってる。
余裕しゃくしゃくで車運転してるときと比べて対照的で、その2つを内包してる女性像を演じるのが上手い。

この時代のスター、オードリーやマリリンも含めて、”大好きなあなたのために染まるんじゃなくて、私の1番魅力的な姿であなたの横に立ちたい”みたいな雰囲気を感じる。マリリンとか、1番男性に媚びてるようで、スタイルは実は男性全般が好きな格好だけど、物語上彼女の相手になる男性の好みのスタイルかと言われたらなんか違う気がする。

そこがすごく面白い。


あとイーディス・ヘッドの衣装はさすがすぎ。エレガンスを体現するグレース・ケリーとイーディスの共同制作。

イーディスは本来衣装に対して発言権のない女優の側に常に気を配り、よく意見をもらっていたっていうエピソードは希望的。

あとこの作品でピンクのツーピース着てドライブするけど、最初パンツ案だったけどグレースがパンツは嫌だって言ってスカートになった、っていうエピソードもこの時代になると、女優がある程度セルフブランディングを担っていたことがわかって嬉しくなった。
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