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非情の罠のslowのレビュー・感想・評価

非情の罠(1955年製作の映画)
4.3
引退を意識し始めたベテランボクサー。その心の隙間に入り込んだのは、郷愁か情愛か。
右に左に人が行き交う駅の構内でシアトル行きの列車を待つ男デイビーは、まだ鮮明に残るここ数日間の出来事を静かに思い返していた。

まだ「スパルタカスの鎧」も「博士の異常な盾」も「2001年宇宙の兜」も「時計じかけの剣」もない、全然フル装備じゃないキューブリックの素手で殴りかかったような初期作品。そう、これ大好きなやつ。できる範囲で何とかするこの情熱。そして、ある程度何とかしてしまえるセンス。語れる程キューブリックを観ているわけではないけど、流石だなと唸ってしまった。

あれは男が挑む引退試合だったのか。その大観衆はものも言わず、ただただそのデスマッチを見届けるのである。
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