ヒノモト

リトアニアへの旅の追憶のヒノモトのレビュー・感想・評価

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)
3.9
先日観た「眩暈」の後、ジョナス・メカス作品がどうしても観たくなり、現在上映中の今作を観ることが出来ました。

1972年の作品で、アメリカに亡命してからの映像と27年ぶりに祖国リトアニアを訪れた時の映像、そしてハンブルク郊外にある強制収容所周辺の光景とをつなぎ合わせた、ジョナス・メカスによる日記的映画を越えた歴史的価値のあるドキュメンタリー映画です。

今さら多くを語る映画ではないですが、初鑑賞だったので感想を短めに。

メカス自身が語るナレーションによる言葉、家族や親戚、友人たちを映す懐かしい風景とブレまくる映像と病的に細やかな編集による的確な表現が混在していて、メカスの人生の重みと年月がもたらす変化、リトアニアという国が置かれてきた実情を鑑みると、映像の貴重性を感じます。

「眩暈」や「ミスター・ランズベルギス」から繋がる、リトアニアのソビエト連邦による占領時代の背景と重ね合わせて、直接的ではないものの、後世に観るとその映像の意味を政治的なメッセージと受け取ることが出来て、充実した時間でした。
ヒノモト

ヒノモト