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リトアニアへの旅の追憶のnousagiのレビュー・感想・評価

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)
4.2
吉増剛造展での上映会にて。
オリジナル版16㎜。
リトアニア出身の詩人であり映像作家でもあるジョナス・メカス監督の私的日記のような作品。
ナチスに追われアメリカに亡命した監督が27年振りに祖国を訪れ母親や友人たちと再会を果たす話が核となっています。

絶えず揺れ動く映像と細かいカット割りに驚かされましたが、見ていくうちにだんだんこのリズムに慣れてきて、監督の動きまわる眼を追体験しているかのよう。
監督の呼吸だったり心の揺れがダイレクトに伝わってきて心が揺さぶられました。

リトアニアへの想い。
家族への想い。
記憶の断片を繋ぎあわせたような、幸せの一瞬を封じ込めたような美しくみずみずしい映像。
愛しいお母さんの姿。
久しぶり集まった兄弟、親戚たちが、童心に戻ったように背比べをしたり、突然歌いだしたり、踊ったり。
のどかな風景、素朴な暮らし。

監督の眼差しが優しくて愛に溢れていて自然と涙が溢れてきました。
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