ピョンちゃん

秋刀魚の味のピョンちゃんのレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
4.0
コゴナダ監督は小津安二郎の作品の中では『秋刀魚の味』と『麦秋』が特に好きだそうです。

この映画で一番印象に残っているのは、笠智衆演じるかつて駆逐艦の艦長だった男と当時の部下が居酒屋で交わす言葉です。

「(戦争に)負けてよかったじゃないか」
「馬鹿な野郎が威張らなくなっただけでもね」

私は小津作品は本作と紀子三部作しか観たことのないニワカなので大きなことは言えないのですが、家族ドラマを多く撮ってきた小津が自らの戦争観をここまではっきり示したのは珍しいことのように思えて、感じ入るものがありました。
あの艦長だった男は戦中・戦後をどんな思いで過ごしたんだろう。もっと知りたくなりました。作品のテーマとは別に、思いの外戦争について意識してしまう作品でした。後学のためにも小津安二郎は集中講座的に全作品摂取する必要があると感じています。
ピョンちゃん

ピョンちゃん