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秋刀魚の味のcatmanのレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
5.0
独特のショットや色彩設計、抑制が効いた演出、おっとりと間延びした会話のテンポなど、初めから終わりまで小津らしさが炸裂しまくり。観ながらニヤニヤしてしまう。まるで名人の落語を観ている様な。善人も悪人も無い、市井の人々の日常の繊細な情感をすくい取って見せる感じ。いわゆるペーソス。侘び寂びの世界。こうした小津の作品が海外でも人気があると言うのは非常に興味深い。
登場人物は皆がそれぞれ愛すべき人間なんだけど、とりわけ東野英治郎と杉村春子の二人に強い印象を受ける。笠智衆は言わずもがな、同窓生の食えない感じもめちゃめちゃ良い。酒を飲むシーンは全部良くって、バーでのあの感じとか感情移入しちゃうんだよな〜
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