森沢明夫氏の小説「あなたへ」を先に読了してからの鑑賞です。
映画は映画でやっぱりいいですね。高倉健さんの味がものすごく出ていました。健さんだからこそ、不器用な、でも実直な男性のひたむきな愛情というものが凄く伝わってきました。そして薄香の海の美しさ、どんなところか見てみたかった思いがかなった感じです。散骨の場面は景色も美しく、情感いっぱいでした。結果として小説も映画も両方楽しめた作品でした。
ストーリーについては、1時間50分内で表現する映像になるためか、小説より省略気味な印象が強かったですね。逆に言うと、この映画を気に入った方は、是非とも森沢明夫さんの小説「あなたへ」を読むことをお勧めします。非常にリッチなストーリーによる丁寧な伏線の張り方と回収、種田山頭火の俳句も沢山でてきますし、より情感の伝わる想い、手紙などを味わえます。よろしければ。
