みんと

白鯨のみんとのレビュー・感想・評価

白鯨(1956年製作の映画)
3.9
『グッバイ、リチャード!』でチラッと登場してた流れで何となく鑑賞。(今作とは関係ないのかなあ…?)

結果、予想を遥かに超えて面白かった。

白鯨に片足をもぎ取られたエイハブ船長(グレゴリー・ペック)の狂気に満ちた復讐心と、その執念に巻き込まれた乗組員達を描いた物語。

何はともあれグレゴリー・ペックの、らしくない迫力の演技が頗る新鮮だった。そしてこの時代にしては『ジョーズ』を上回るクオリティじゃないかなぁ?ダーダン、ダーダン…と音楽効果に頼らなくても十分恐怖を煽るし、合成の違和感すら全く感じずあっという間に観終えた印象すら。

序盤オーソン・ウェルズ牧師のオーラ満点の説教、そしてその後を暗示するかの預言者の言葉、やっと正体を表した時のエイハブ船長の圧倒されるビジュアル…

もはや執念、いや執着、冷静さを失い死をも恐れないアドレナリン全開の乗組員達。副船長でさえ変心するシーンは恐怖すら感じた。カリスマ性の向かう先が誤ったならば、こう言う事態はあらゆる場面で起こり得る怖さを感じたり…

旧約聖書を下敷きに、神の存在感を大きく描きつつも難解過ぎず、人間ドラマとしてもアドベンチャー・アクションとしても観応えのある作品だった。
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