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ブルークリスマスのkuuのレビュー・感想・評価

ブルークリスマス(1978年製作の映画)
3.5
『ブルークリスマス』
製作年1978年。上映時間134分。

UFOを目撃した人間の血が青くなる。青い血を持った人間を迫害、秘密裏に“処理”しようとする体制の恐怖を、政府の極秘計画の謎を追うテレビ局員と青い血の恋人を持った特殊部隊員の行動を通して描いた力作。

UFOや宇宙人の存在、青い血についての謎解きは一切なく、異質なものを排除する人間の恐ろしさを徹底的に暴いた。

余談ながら、UFOを目撃した人間の血が青くなる。
なんて奇天烈な話しだけど、今から約40億年前、原始の海やと太陽光を含む宇宙放射線のエネルギーによって無機物から有機物が生成され、自己と同じものを複製することができる生命体が誕生したと考えられている。
宇宙放射線は生命誕生をもたらした一方でら生命体のDNAに傷をもたらし、死をもたらす脅威でもあったし、地球上に生命が誕生してまもなく、生命体は DNA の傷を出来るだけ少量にとどめるよう、たとえ傷が出来ても元に戻すという修復能力を身につけてきたと考えられている。さらに、宇宙放射線はDNAに刻みこまれた遺伝情報の塩基配列とは異なる配列に変えてしまうことがある。
DNA の損傷部位では DNA 複製の際や、その損傷を修復する過程でエラーが混入する可能性があり、結果的に元とは異なった塩基配列となる、こないなような突然変異が体細胞で起これば、UFO(宇宙からの何らかの光線で)を目撃した人間の血が青くなる。は、あながち奇天烈でもないかぁ。

国営放送の報道部員・南は、京都で開催された国際科学者会議でUFOの実在を訴えた直後に失踪した兵藤博士の行方を追ううちに、世界各地にUFOが頻繁に現われ、それと遭遇した人間の血が青く変質する事実を知る。
南はその事実を報道しようとするが、放送局に政府の圧力がかかって頓挫せざるを得なった上に左遷させられる。青い血の人間が世界中で急激に増加する事実を各国の政府が隠匿する裏には、異星人への疑いに不安を膨れ上がらせた主要国指導部による陰惨極まりない謀略が隠されていた。
世界規模で人権の一切を否定された青い血の人々に降りかかる惨劇の数々。そしてそれは悲劇への道でもあった。。。

ギタリストのCharが歌う
『ブルークリスマス』全世界でヒットした洋楽バンドの曲として9分位で喫茶店の有線放送。
30分位いかないくらいで日本中に、英語版『ブルークリスマス』が映画の中で流される。
個人的にエレキギターを嗜むので音楽が印象的な今作品。
Charの演奏シーンや演技していることはないのが残念なとこやけど。

タイムリーでは知らないけど、『スターウォーズ』が1977年公開され、爆発的なSF人気に湧いていた翌年やろし、その頃のブームに従ってこの作品も、東宝の一大SFとして、仲代達矢とか個性的な、今じゃ大御所名優を惜しげもなくキャスティングし、ニューヨーク・パリでロケを行うなんて邦画に力があるなぁ。
表面上は、いかにも力を入れて作った作品のように見える今作品。
しかし、倉本聡が脚本を書いてんのに、現代のハリウッドSFに見慣れてるからか、何とも摩訶まかマカ不思議で少々チープなSFもどき作品になってしまってんのは否めないかな。
なんでUFOを見た人の血が青く変わってしまうねん。
また、その人を国家が一方的に隔離、抹殺しようとするストーリーにリアリティーが感じられないのは、脚本の失敗やと云わざる得ないかな。
ナチスのユダヤ人抹殺を彷彿させよる流れやけど、血がブルーなったんは明らかにUFOによる影響で、それ以外は全くまともなんやし、何とも短絡的やし、ブルーの血の人を排除するようなことを始めていいのかなぁ。
地球に来れるほどの知的生命体が乗るUFOが攻撃してきたらどないすんねんなんて、ボヤきもちょい出た。
その辺りをコミカルに作っているわけでもなく、シリアスで笑いのかけらもない。
また海外ロケシーンも、急ぎ足で撮ったようなチープさが感じ取れる。

とは云え、キャラの登場シーンに役名がバーンと出るとき、往年の銀幕のスター達を拝める(末筆に主だったキャスト記載)。
雪景色に青い血が流れ、淡々やけど、渋い台詞まわしだけで、嗚呼って溜め息がもれるほど、おっとなるシーンが目白押しやったし、それだけで大満足。
しかも、25歳の竹下景子が実に初々しく可愛い。
演技はともかく😊、竹下景子ってこない可愛いかったんかと思たし、竹下景子に3.000点賭けます(篠沢教授は出ません)。
多分、カルト映画化しているこの作品やろとは思うし、確かに過去の日本映画にはなかった珍品SFであることは間違いありま1000(せん)。
せや、岡本喜八監督・倉本聡脚本・しかもこれだけの俳優が出演していてこの出来は、珍品の域を出ない作品と云わざるを得ないかな。
見方かえてみたら、岡本喜八・倉本聡、ほんでもって、東宝のお偉方としては、『スターウォーズ』と刺し違えても勝負してはとうてい勝ち目がないと考え、避けて路線変えたんかな。
実際、ものの本には、倉本聡UFOと地球人類の遭遇そのものよりも、それによってもたらされる変化を異物として排除しようとする国家の謀略に重点を置いた政治ドラマをえがき、その謀略は、最終的には軍事力による青い血の人間根絶で達成されるが、その過程として倉本は、放送メディアを利用した政治的プロパガンダを執拗に描きたかったと書いてた。
その意味では達成は出来てるけど、でも、東映は深作欣ニ監督が『宇宙からのメッセージ』で、刺し違える覚悟で勝負しとるんやし、東宝も気張って欲しかったかな。

沖退介(国防庁特殊部隊員)勝野洋
西田冴子(麻布理髪店員)竹下景子
西田和夫(冴子の兄)田中邦衛
南一矢(国営放送JBC報道部員)仲代達矢
南夫人 - 岡本みね子南修(南の息子) 松田洋治
兵藤光彦(科学者)岡田英次
兵藤夫人 八千草薫
木所(芸能記者)岡田裕介
高松夕子(女優、木所の恋人)新井春美
五代報道局長(JBC)小沢栄太郎
竹入論説委員(JBC) 大滝秀治
沼田報道部長(JBC)中条静夫
吉池理事(JBC)島田正吾
鈴木理事(JBC)松本克
平城制作局長(JBC)永井智雄
原田(国防庁パイロット)沖雅也
沢木(特殊部隊隊長)高橋悦史
岡村(特殊部隊隊員)潮哲也
相場修司(国防庁次官)芦田伸介
宇佐美幕僚長 中谷一郎
特殊部隊師団長 今福正雄
特殊部隊司令官 稲葉義男
田村方面軍司令 武内亨
代議士風の男 天本英世
代議士の側近 岸田森
院長 神山繁
喫茶店の女 大谷直子
男1(地下組織)草野大悟
男2(地下組織)伊藤敏孝
麻布理髪店・店員 小鹿番
タクシー運転手 堺左千夫
中本助手 小川真司他
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