東朴幕院

ブルークリスマスの東朴幕院のレビュー・感想・評価

ブルークリスマス(1978年製作の映画)
4.0
タイトルに惹かれて何気なく鑑賞。鑑賞後に岡本喜八監督、倉本聰脚本と知った。
頻発するアダムスキー型UFOの出現とそれを目撃した人間の血が青くなる現象で始まるこのストーリーは、ハードSFを装いながら色濃い政治ドラマに仕上がっている。こういうタッチから『シン・ゴジラ』にも繋がっているのだなと感慨深くなったものだ。
その政治ドラマとしては、現在も脈々と続く諸外国との外交が不安定になった時に自国の防衛を考えると全体主義、体制の圧力というものが否応にも見えてくる訳だが、本作をそういう潜在的な不安感を見事に映像作品として捉えた作品だと思った。
体制が国民に牙を向くや否や巨大な力で攻めてくる怖さ。また、国家が科学的な見地での対策や解析せずに異物を排除していく動きというものを過去の事例に照らし合わせて作られている事にも好感が持てるものだ。
出演は、仲代達矢、勝野洋、竹下景子と一流の演者たちであるが、岡田英次の様にこれでもかと有名どころが出演しているのは必見。
若者の情愛をも吹き飛ばす国家の力には愕然とするが、口の中が苦くなる展開も見どころだ。大手映画会社がこの様なタッチの作品を制作していたのに対して最近の質は嘆かわしいとさえ思える。
東朴幕院

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