踊る猫

ペパーミント・キャンディーの踊る猫のレビュー・感想・評価

4.1
冒頭のピクニックの場面で提示される不穏な空気が堪らない。その他にもロングショットや長回しを駆使した映像が、トリッキーな脚本と絡み合ってなかなかの力作を作り出していると思う。個人的には北野武『その男、凶暴につき』のような作品を想起しながら観てしまった。こちらももう一度観ないと分からないことなのだけれど、撮り方のぎこちなさや暴力の陰惨さ(尋問で水中に顔を押しつける場面の見事さ!)にその残響を聴いてしまったのだ。これはこの時代の映画特有のざらついた雰囲気の映像もあってのことかもしれないが……カラオケや音楽が暴力的に流れる場面は後の『シークレット・サンシャイン』にも活かされているのだなと思うと面白く感じられた。あとは「水」だろう。振り続ける雨、主人公が飛び込む川、そして先ほどの尋問で使われる「水」……頻出するその要素が一体なにを意味しているのかまでは分からなかった。残念。
踊る猫

踊る猫