great兄やん

ペパーミント・キャンディーのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

4.3
【一言で言うと】
「巻き戻せない“過去”」

[あらすじ]
「帰りたい!帰してくれ!」と叫びながら自殺をしてしまう狂気にかられた中年男のキム・ヨンホ。
この男に何が起こったのか、遡る時間だけが狂ってしまった人生の真実を悲しく映していく...。

なんか...やりきれない気持ちでいっぱいです😔
あの日あの時、彼があんなことをやってなければ、あの事に気づけてれば...
シナリオ通りにいかない人生ってよく言うけど、まさにこの事だな〜って思う。

とにかく言葉が出てこない。
そりゃ彼のような人生を歩んでないからそうなるのは仕方がないことなんでしょうけど、今思えば自分の今歩んでる人生はどうなのかと考えてしまう。
自分の思い描いてる人生なのか。
障害の少ない楽な人生なのか。
まぁこう言っちゃなんですが、自分が死んでないとすると、まだ幸せな人生なんでしょうね😅
それと比べるともう...本当に観てて辛くて、逆によく20年も精神的に耐えられたなと思います。
こんなの自分だったら...どうしてたんでしょうね。
考えるだけでも恐ろしいです😰

それに20年遡る一人の男としてキム・ヨンホを演じたソル・ギョングの演技がもう素晴らしかったです!😳
一人の男が時代の流れに人生を狂わされ、次第に人間性おろか人格をも変わっていく姿を見事に演じきってました。
にしても過去に遡るにつれ、ヨンホの顔が本当に若返ってるように見えるのも凄いです😧
やはり人間の顔って、実年齢よりも若く見えたり老けて見えたりと、不思議なものですね🧐

ただ、最初の方はあまりヨンホに共感が出来なかったのが残念😫
ハッキリ言いますが、見てて非常にイライラします(^◇^;)
(奥さんが浮気してボコボコにしてるのに、結局お前も浮気すんのかい!!٩(๑òωó๑)۶)
やら、
(刑事やからって...コイツ無茶苦茶や
( •̀ㅁ•́;)...)
と、観てて色んな不満が噴き出してきましたが...

終盤近くで描かれる兵役時代に起こった“ある事故”をきっかけに人生が狂ったんだと分かった瞬間、今まで彼がやってきた行為は全て“懺悔”の為だったんだと思うと...😭
そしてラストで魅せたあの涙はどういう意味なんでしょうか🤔
自分の未来が目に映ったのか、それとも...

とりあえず観た後に物凄い喪失感を抱きますが、とても深い余韻を残してくれる素晴らしい作品です。
『バーニング』の時でもそうでしたがイ・チャンドン監督の作る作品って、どこか難解だけど、観客を惹きつける独特な雰囲気を描くのが上手な監督だな〜と思います。
まぁ今作を観た後のダメージは計り知れませんが( ̄O ̄;)
それでも一見の価値は十分あります。



あの日に帰りたい。

そう言って、彼は自ら命を絶った。

自分の歩んできた人生に間違いがあったのなら、

そこを修正して、またやり直したい。

だが、人生は悲喜こもごも。

辛い時もあろうが、嬉しい時もあろうが、

それはまるでペパーミントキャンディーの味のような、

美味しさがある。

飴は、舐めたら終わり。

人生は、死んだら終わり。

飴と人生は相反するものであっても、

実は似てたりする。

人生は美しい。

たとえ歩んできた人生によって全てが変わろうが、

あの飴の味は変わらない。

いつまでも、いつまでも、

爽やかで、甘酸っぱい。

そう、いつまでも...