モールス

天と地のモールスのレビュー・感想・評価

天と地(1993年製作の映画)
3.5
オリバー・ストーン監督がベトナム人の視線からベトナム戦争を描写した作品とは言いますが…。アメリカ人がベトナム人の行いを独善的に非難してるようには見えました。ベトナム人同士の会話も英語ですし、そこにベトナムとしての主観があるのかと甚だ疑問に思いました。
戦争が激化すると共に、人は物を破壊したり、人を傷付けることに鈍感になるものでしょうか?主人公レ・リーがアメリカ軍とベトコンから虐げられた後の言葉が印象的です。「ベトコンもアメリカ軍も大きらい」これが戦争で人間の悪魔性が生まれることをよく描写してると思います。そこは納得する部分でありましたね。
後半は、戦争が終わってからのことです。レ ・リーがトミー・リー・ジョーンズ演じたアメリカ軍人と結婚して、アメリカに移住します。やっと幸せを見付けたと思いきや、夫とは心のすれ違いが多くなります。これもベトナムとアメリカの違いからなるものでした。ここにも夫婦の間柄ですが、両国の軋轢が見えてきます。戦地にいた者しか分からない傷は夫の自殺という形で出たのが悲惨すぎましたね。
実は本作、若い頃鑑賞したことがあります。当時は平和の大切さを訴えた作品と感じました。年齢を重ねて、最近再び観ましたが戦地となったのはベトナムなのでアメリカ人がベトナム人の視線で見るのはやはり違和感があると感じるのはようになりました。年をとり、多少はひねくれたせいかもしれませんね(^^;
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