ソフィア・コッポラ監督最新作「ビガイルド」と同じ原作を映画化した作品。
男臭い映画を撮ってきたドン・シーゲル監督とイーストウッドのコンビが、最終的に女達を恐れるこの映画を撮った事が興味深い。
自らの魅力や話術を総動員して女達を籠絡しサバイブしようとする男と、そんな男に恋情や欲情を熱く寄せていく女達とのパワーゲームは今観ても新鮮で面白い。しかもこのいつの間にか窮地に陥る男を演じるのが男盛りのイーストウッドというのがまた皮肉で良い。
女達の本心を定期的にモノローグで言語化してしまうのが野暮で勿体無かった。『女性の心の声』を映像にもう少し翻訳する事ができていれば良かったのに。
一方で内心を隠して言葉と態度で上手く立ち回ろうとする主人公の言動と内心の違いは巧みに映像で描かれている。
耳障りの良い言葉の嘘とは反対の事実を映し出す主人公の回想や園長の謎めいた回想、と回想の使い方が面白い。
ドン・シーゲル監督のサスペンス演出は見事だし、こういうイーストウッドが見れたのは愉しかった。
なんだかんだでまだ男性中心の映画ではある本作。ソフィア・コッポラ監督がこれを女達の視点からどうひっくり返してくるか、滅茶苦茶楽しみ！
