岡田拓朗

カケラの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

カケラ(2009年製作の映画)
3.4
満島ひかり×中村映里子のW主演。
さらに監督が安藤サクラの姉、安藤モモ子ときたらこれはもう観るしかないと思い鑑賞。

女性の心の内にあるもやもやが色んな場面に散りばめられたり、人が人を好きになっていったり、心が離れていくとどうしようもなくなっていくようになっていったり・・・
映画としては、短い時間の中で展開が早く動きが多かったので、色んな「女性」が描かれている作品だなーと思った。

なんとなく日々を過ごし、都合よい女として見られている彼氏を持ち、なかなか別れられず、もやもやした生活を続けているハル(満島ひかり)
そこに、ミステリアスでハルとは真反対の性格や生活をしているリコ(中村映里子)に話しかけられ、度々会うことになっていく。

リコはハルのことが好きで好きでたまらなくなる一方で、ハルもリコから愛されることを知り、自分もリコのことが好きなのでは、と感じ始める。
というよりも、おそらく好きになっていた。

ハルは、愛されも愛しもできない彼とついに別れ、リコと付き合い始めるが、だんだんと亀裂が生じ始める。
リコが、ハルのことを好きすぎて、かつ自分が愛されていることに自信を持てなくなってきているがゆえに、些細なことに嫉妬してしまったり、ハルを束縛したりするようになってくる。

そこに対して、ハルはまだまだ自分がリコが好きであること、付き合っていることを他の人に知られたくない。
そこに恥ずかしさを感じていた。
結局ハルはリコのことを同じ目線で好きなのではなく、どちらかというと依存しているように見えた。

その本気度に徐々に差ができ始め、ハルはリコのことを鬱陶しく思い始め、リコもそれに気づいていく。
そして、距離を置くことになる。
そしてまた、お互い大切さに気づいたかのように映画が終わっていく。

人が人を好きになる様子、人が人を鬱陶しく思う様子や行動、すれ違っていく様子、悶々と生きていく様子。
独りよがりになってくると恋愛はきつく、成り立たなくなってくるよなーと。
女性目線からわりと深く描かれている作品だという印象を受けた。
同性愛、受け入れろよお前ら、と叫ばれているような感覚も。

満島ひかりと中村映里子が自然体(というよりも自然に見えた)。
2人とも本当にこういう役が合っているなー。
役者としての幅が広い2人ですが、この役柄こそが2人が一番映える役柄じゃないかなと思った。
このときの満島ひかりはさらにかわいい。

ラストが惜しい。
岡田拓朗

岡田拓朗