かや

麦秋のかやのレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
4.3
小津安二郎監督の紀子三部作の二作目。
ちなみに一作目は「晩春」、三作目は「東京物語」で、ただキャラクターの名前が一緒ってだけで、続編ではありません。

本作も「晩春」に引き続き、父と娘といった家族の関係や、娘の結婚がもたらす家族の変化を描く。


大したことは起こらないんだが、それによる細かな心の機微の描き方が抜群に上手い。
会話と会話の間とか、場面と場面の間にも、様々なキャラクターの感情が移ろうように、もはや画を使わないという表現方法。

クスッとなるシーンもあって、3作の中では一番多かった気がする。
未婚vs既婚、秋田弁での会話、耳が遠いおじいちゃんをからかう孫たちなどなど、普通の日常感が出てて良い。

ほとんど家のシーンだが、至って普通な風景なのに美しく見える。

結婚する紀子を見ることで、その親たちにもかつてそういう時があって、孫たちにはいずれそういう時があるんだという、全ての人の人生を考えられるようにもなっている。
これって相当すごいと思う。

また、戦死をした名前しか出てこないキャラクターが、本作の構造上重要な役割を担っているとも思える。
名前だけなのに存在感があり、他のキャラクターの感情を揺さぶる要因にもなっている。
人や家族、人生の描き方は天才的。


小津ファミリーと言ってもいいくらい、出演者はかぶりまくりで、原節子と笠智衆はずっとコンビで出演してることもあり、既視感があり若干こんがらかっちゃうことはある。
この写真を見てどの映画か当ててくださいって言われたら当てられる自信がない笑

まだほとんど昔の日本映画は見ていないが、日本映画は昔の映画の方が好き。
そしてこの3部作は本当に素晴らしい。
永遠に見ていられる。
家族に対しても言葉遣いが丁寧で、礼儀正しいのも素敵。
本当に当時こうだったのかは知らないが…
他の小津作品も観てみたくなりました。

字幕で、行ってきまァす、みたいに小文字がカタカナになるのなんかかわいいよね笑