麦秋のアップルのレビュー・感想・評価

小津安二郎の代表作の一つ。老夫婦と長男夫婦とその子供たちそして独身の妹の７人家族が暮らす家の様子が抑揚をおさえた演出で描かれています。晩春に比べて今回の原節子は小姑の立場です。兄嫁との関係はお互いに思い遣りに溢れていて良かったと思います。二人が海で戯れる姿に目が潤んでしまいました。原節子と親友役の淡島千景が麗しい外見からは想像も出来ない歯に衣を着せぬ物言いで作品を華やかにそして激しく盛り上げます。コミカルだけど夢見る頃を過ぎた２０代後半の女子の哀惜が胸に迫りました。空の雲や麦畑の心象風景が美しい映画です。