安堵霊タラコフスキー

麦秋の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
5.0
改めて見たけど冒頭の波打ち際とか風景のシーンだけでも絶品!

そして風景同様人物の生活模様もまた絶品で、その様式美と雰囲気は見ているだけで恍惚とさせられる。

人物カットの挿入も絶妙な間で行われ、まさに完璧と言う他無く、その点でも実に心地が良い。

展開もシリアスになり過ぎない空気感がまた絶妙で、変に重くなってぶち壊しにしない配慮も流石。

しかし見れば見るほど小津芸術の到達点と思われるこの卓越っぷりには惚れ惚れするばかりだけど、こういうある意味で映画の完成形とも言えるような作品を世に出してしまったから後世の日本人映画監督や製作者は真似にならないよう変に捻って失敗したりするのか、それとも大事な部分が見えずに上手く学べていないのか、はたまたこの至上の芸術を見過ごしているのか。

つまりはこんな最高級の作品生んだ手本がいるんだから、もっと日本の映画人はしっかり倣うべきだと思う。