ぬーたん

麦秋のぬーたんのレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
3.3
やばい。
年を食っても小津作品の良さが今一つ分からない。
隣の家を覗いているような気がする。
どんな暮らしかな?という好奇心というか。
紀子三部作は一応観たが、
『東京物語』は確かに面白かった。
笠智衆から見て、東京で息子の嫁だった原節っちゃんが、ここでは妹。
東京で女房だった東山千栄ちゃんはお母さんに。
晩春では実の親子で、今作と同じように嫁に行くだの行かないだの。
実年齢は千栄子→智衆→節子の順で15歳位ずつ離れている。
まあ、そんなことはどうでも良さそうだけど、初心者としては、混乱がここで起きてしまう。
最初は笠智衆は長女の婿かと思い、原節子が密かに思いを寄せて嫁に行かないのかと勝手に推測して観ていたら、智衆さんが義理の親に口の利き方が荒くて、マスオさんにしちゃあ、態度Lだなあと思って観てたら、実の息子だった💦
他の俳優女優も重複して出演していてややこしい。

さて、この作品の中で違和感を感じたのは、父親の尊厳の部分。
戦後間もない頃と考えて、父親は絶対的な存在で怖かったのが普通だったと思うが…。
父の土産のパンを蹴っ飛ばし悪態をつく。
現代でもこれはアカン!食べ物を粗末にするなど、もってのほかじゃい。
しかも、父に怒られて家を飛び出す生意気2人組を、家族は心配し、父は妹に怒られたりしてシュンとなっている。
せっちゃん明るくてニコニコとしていて良いが、勢いで嫁入り決めたのか?というありゃりゃの展開にびっくり。
高いケーキを買って食べて、漬物でお茶漬けをサラサラとかき込むのは、なかなか良かったけど。
あと、笠智衆のセリフの言い方が訛りがあり棒読みで、下手にしか思えない。これはわざとなんでしょうか?

海外で人気、国内でも評判の良い小津作品。
小津調と称される独特な固定カメラで映し出される構図や映像美が讃えられているが、注意して何回も観ないとその良さはわからないかもしれない…。
確かに面白いが、終わってみて思うのは、
それで?という。
お隣さんのお嬢さん、お嫁に行ったのね。
記念写真撮ってらしたわ。
ご両親も寂しくなったわね。
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