小津作品は「晩春」に続き2本目の鑑賞。生活感あふれる何気ない日々をここまで魅力的な映画に変えてしまうのだからやはり凄い。小津監督のスタイルと名匠と言われる所以が分かってきた。
冒頭の朝食のシーンからぐっと引き込まれた。本当に何気なくて当たり前の普通の日々。それが映画になると一周回って凄く新鮮で斬新に感じた。温かみや優しさに溢れた作品で、じわりじわりと寄せてくる感動があった。ボクシングに例えるならストレートやアッパーの様な強烈なパンチではなく、ジャブやボディブローの様なパンチをこまめに打ち続けられ、気がついた時にはその魅力にドップリと浸かってるというような感覚。「これが小津マジックか!」と思った。
「晩春」に続き原節子の美しさは圧巻だったが、個人的には三宅邦子の美しさと演技もとても印象的だった。笠智衆の存在感も流石だった。
劇中の音楽もとても良かった。