EmiDebu

男はつらいよ 噂の寅次郎のEmiDebuのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 噂の寅次郎(1978年製作の映画)
4.0
第一回アカデミー脚本賞ということは、幸福の黄色いハンカチと公開はほぼ同時期か。

最近、男はつらいよを観ては、始めてこのシリーズを全部観た時一体どんな気持ちで観ていたのだろうと考える。
10年前、まだ15歳で恋愛経験が乏しい青臭い田舎の青年は、この映画になにを見出し果たして何に共感したのだろうか。

明るい話題を振られて「私の人生で寅さんに出会ったこと」というのは、気持たせさせる言葉だが、その言葉には色んな受け取り方があってそれを色恋だと受け取るも自由、辛い時も笑わせてくれる人だという認識も自由、ただ、これを罪作りとは呼びたくないんだよな。
最近、ニコニコして飲み屋で話していることを立て続けに2回ほど注意を受けた。「そんなことしたら相手を勘違いさせちゃうよ」と。そんな俺は罪作りであると。ではムスッと、つまらなさそうに楽しい話をすればいいのか、友達という選択肢はないのか、人が好き、話が好きというのはそれだけで罪なのだろうか。
まぁ、それもお得意の怒涛の勢いで言い返して2回とも返り討ちにしたが。
あまりに勘違いする方には優しい世の中で、意図せずそうさせてしまった方には厳しい世の中だと思う。

少々、話は逸れたが従兄弟の気持ち、それを知った上で知らないフリをして関わる早苗。この二人を結局後押ししてしまう寅次郎。色んな人々の思いが交差するラストシーンを観た時、電車内だったが号泣してしまった。俺は寅次郎みたくなれるかな。いや、俺だってきっとそうだ。

10年前はそうでなかったかもしれない。でもこの10年は色んなことがあった。色んな恋もした、もちろん失恋も。これからもするだろう。果たしてさらに10年後。俺はどんな気持ちでこれを観てるかな。
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