ミチ

海洋天堂のミチのレビュー・感想・評価

海洋天堂(2010年製作の映画)
4.9
冒頭からショッキングだった。
これが障害者の子どもを持つ親の現実なのかと。

男手ひとつで自閉症の息子ターフーを育ててきたシンチョン。

彼はある日自分の余命がわずかであることを知る。

自分が死んだあと、子どもはどうなるのか。
自分の死を乗り越え、一人で生きて行ってくれるだろうか。

親なら誰しも思うことだが、障害のある子どもを持つ親にとって、この問題はとてつもなく大きいだろう。

卵の割り方、お金の使い方、服の脱ぎ方、ターフーが1人でも生きていけるようシンチョンは様々なことを息子に教えていく。

少しずつ、少しずつ、自分で出来ることが増えていくターフーと、少しずつ、少しずつ、死に近づいていくシンチョン。

ジェット・リーの演技は、父親の広く穏やかな愛情が、言葉、表情、眼差しひとつひとつからにじみ出ていた。

「海洋天堂」とは直訳すると「海の天国」
その題名のとおりこの物語には「水」が深く関わっている。

映像も「水」を意識して撮られていて、久石譲さんの音楽も、水のせせらぎのように優しく温かい。

感動やメッセージを押し付けられることもなく、この映画自体が透明なやわらかい水のようだった。