カツマ

ハネムーン・キラーズのカツマのレビュー・感想・評価

ハネムーン・キラーズ(1970年製作の映画)
3.6
恋愛は心の病、などという表現があるけれど、ここまでいくともはやそれは不治の病だ。極限まで膨張した愛は食べ過ぎの肥満体のように肥大化し、そのまま狂気となって爆発した。このアメリカで実際に起きた連続殺人事件は何度か映画化されているが、その元祖ともいうべき作品がこちら。ノワール的な陰影が特徴的で、殺人に及ぶ瞬間、その闇が恐ろしいほど濃度を増し、2人の狂人はその都度殺人鬼へと変貌する。作り手側の感情はあまり感じないが、その無機質さが逆にこの事件の凄惨さをまざまざと映し出しています。

病院の看護婦長を務めるマーサは、文通クラブを通じてレイという紳士的な男性と出会う。すぐさまレイに夢中になったマーサだが、レイの裏の顔は結婚詐欺師だった。それでもレイを一途に愛するマーサは、母を捨て、レイと共に結婚詐欺の道へと走る。夫に先立たれた独身女性をターゲットに、レイとマーサは詐欺を働くが、ついにはボロを出し、ターゲットを毒殺してしまう。だが、2人の結婚詐欺は更にエスカレートし、殺人ありきの凶行へと及んでいく・・。

最後まで見るともはや最初のマーサのイメージは完全に崩壊し、自然にシリアルキラーへと変貌していく。レイはそうでもないのだが、マーサの方は実際の犯人と容姿が似通っており、尚更不気味だ。マーサはひたすらに一途だったが、レイはどうだったのかよく分からず、モヤモヤしたままエンドロールを迎えました。
ときに嫉妬心は人を殺すほどの強い感情となり、炎のように燃え上がる。これは修羅の先の先へと突き進み、悪魔に魂を売り渡した恋人たちの物語だ。
カツマ

カツマ