【小惨事積まれ大惨事となる】
U-NEXTにて。記憶の限りでは、初めて映画館で見た洋画。映画とは迫力ある特別なイベントなのだと刷り込まれた。その後、映画はそこに留まらぬとも学習したが。
久々に見直したが、火災描写は今でもコワイ!火は種があればどこでも生まれ、広がれば止まらない。普遍的で留まらぬ恐怖。
始めは火花でも、最後は高層ビルさえ焼き尽くす。
本作は大仰に俯瞰せず、小さな部分を見せる積み重ねで、全体を想像させることが巧い。木を見て森…ならぬ火を見て災に心がバクバクする。
CGなどないがミニチュアで充分。作り手は観客の想像力を相手に延焼させようとしている。
1974年。セット撮影がいかにもセットで、大作なのに60年代を引きずるのは愉しい。
オールスターが売りの筈が、寂しい感じなのは当時、各社でパニック映画を競って作り、分散したからかと。本作はワーナーと20世紀FOXの共同製作・配給。ユニバーサルが同じ年に『大地震』を作っており、あっちはチャールトン・ヘストン✕エヴァ・ガードナー。
そうか、本作で被害が広がったのは、助っ人重鎮ジョージ・ケネディが『大地震』に取られたからか!
しかし改めて呆れたが、オフィスラブしまくり!フリーセックスの時代とはいえ、色ボケメリケンに口あんぐり。
娯楽映画としてのサービスなんだろうが…冒頭さっそく、長旅から職場に戻ったポール・ニューマンとフェイ・ダナウェイがおっぱじめちゃって…絵面が醜悪!
…まあ、当時はまだ、映画が大人の娯楽だったってコトなんだけどね。
スティーブ・マックイーンとポール・ニューマンのW主演は妙にぶつからず、魅力が棲み分けできており、とてもよかった。
鎮火方法はじめ、ツッコミどころも当然あるが、高層ビル✕火災の恐怖を描く要は外していない。そこは文句なく👏👏👏!
それにしても、パニック映画は粗製乱造が加速し、コドモながらも一気に萎んだ気がしたもの。勿体なかったな。
続いて『ジョーズ』が登場し、時代はアニマルパニックにスライドするが、面白いのは、ロクに人を襲わない鮫は悪役に仕立てられ、乱獲され追いやられるのに、高層ビルは、悪役にはされなかったこと。
だからって、だからこの後、9.11が起きたんだ…なんて言うつもりもないけどね。
<2024.9.6記>