柏エシディシ

國民の創生の柏エシディシのレビュー・感想・評価

國民の創生(1915年製作の映画)
1.0
町山智浩さんの「最も危険なアメリカ映画」でその存在を知り、STARチャンネルの特集企画でやっていたヤツを録画していたのだけれど、なかなか観る気がおきず。
今回「ブラッククランズマン」で大々的にフィーチャーされており、遂に覚悟して観始めた。

自分はどんなに駄作の映画でも観きれるし、どんなにくだらない映画でも何かしら観る価値を見出せるものだと信じているけれど、本作においては本当に苦痛というか、最後まで観るのがシンドかった。
それは、100年以上前の映画という「古さ」ゆえではなく、KKKを徹底したヒーローとして描き、顔を黒塗りにした白人俳優が演じる解放黒人の偏った表現とストーリープロットがそこにはあるからだ。その捻れた感覚に吐き気さえ覚える。

しかし反面、クローズアップ、カットバック、ドリー撮影など現代映画にも連綿と影響を与えている撮影技術や、100年前の映画とは思えない第1部の戦闘シーンの記録映像の様な迫力を見るにつけ、当時この作品を観た人への衝撃と影響力は想像に難く無いとも確かに、思う。

映画というものの力を信じている人間にとって本作は、悪しき前例というか、信じ難い存在でもある。
しかし、だからこそ我々映画ファンや映画に携わる人間は本作の事を忘れてはけないし、心に刻んでおかなければないのではないだろうか。

スパイク・リーが「ブラッククランズマン」において、ハリー・ベラフォンテの語る「あの物語」と共に「國民の創生」を取り上げたのは、黒人としての矜持と共に、映画人としての矜持でもあると思う。
映画を愛し、映画を信じる者としての弔い合戦。観る側の私たちもその意志をしっかり受け取りたい。