芝居道の作品情報・感想・評価

「芝居道」に投稿された感想・評価

大野

大野の感想・評価

4.0
街景ショット美しすぎ。
「そんな惚れ方、どんな女(おなご)でもするがな、えぇ、そうやないか?」

一座の親方が主役と言っていい。このひとの芝居にかける熱量がすごい。舞台は戦場だということを忘れるような役者には特に厳しい。どうやったら実も花もある芝居を打てるのかとやっぱり親方の志村喬に訊ねられてひとこと、「世の中の音にじっと耳を傾けることやな。この花火の音でもいいがな、これは戦勝祝いの花火やけど、よく聴くとそのなかにもいろんな音が聴き分けられるやろ」というセリフが個人的に好き。
あと、これ大事なのだが山田五十鈴は輝いてる。心を入れ替えた長谷川一夫は前半と後半でまるで別人で、ちょっと怖いほど。脇を固める役者たちもよくて、彼らの顔を見るとこっちも安心する。なにげに音楽もいい(特に最後のサスペンスフルなシーン)
長谷川一夫×山田五十鈴の名コンビ再び。男が役者として大成することを信じ、女は静かに身を引くことを決意する...切ない。『鶴八鶴次郎』の後に見ると明らかに主演2人の演技が上手くなってる。

1944年の作品なので明らかな戦争プロパガンダであるにも関わらず楽しめる作品。
yuka

yukaの感想・評価

4.3
1938年の鶴八鶴次郎、1943年の歌行燈ときて、1944年の芝居道

成瀬のこの頃の芸道ものは、山田五十鈴という名女優を得てとても輝いている

冒頭の「撃ちてし止まむ」の広告に、映画がプロパガンダとして使われた時代の作品だと意識させられる

日露戦争だかで湧き立つ日本を舞台にして、兵士の苦労を芝居で庶民に伝えるべきだとか、清貧を旨とすべしみたいなメッセージが発されるのがまさにそれなんだが

そんな意図がある映画でも、成瀬の手にかかると大傑作になってしまうことに心底驚いた

旗行列の人影や戦勝の花火が、優れた演出道具になるんやからすごい
一

一の感想・評価

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頭にいきなり「撃ちてし止まむ」の字幕が出てマジでゾッとする。1944年。なんつー時代だ。『鶴八鶴次郎』では長谷川一夫とあんなにバチバチやってた山田五十鈴が、今回はひたすら慎ましいんであんまり面白くないけど、それでも絶品ですな~。
tokio

tokioの感想・評価

3.5
Rec.
❶19.11.27,神保町シアター(35mm)/没後50年 成瀬巳喜男の世界
大阪の興行師の大和屋は、人気役者・新蔵の将来を心配するが…。

すごく良かった。成瀬の作品の中でも万人受けする内容。登場人物が思い合っているのに素直に感動する。凝った映像や芝居小屋の美術は素晴らしく、花井蘭子の人の良さそうな顔も良い。

スピーディーな展開で、物語はテンポよく進むけれど、長谷川一夫が東京に来た訳を知る重要な場面では、手紙を読み終えた長谷川一夫のアップで終わらず、ロングショットの場面を入れて、余韻を残す。ここですごくジーンとした。長谷川一夫が芸人として成長していく場面をオーバーラップで見せる部分にもときめく。

ふとした場面でも、古川緑葉と花井蘭子の2人のシーンから、花井蘭子1人のシーンに切り替え、その時に横に空いたスペースが生まれ、そこに人が来るといった具合で、すごくうまい。
窓の外から部屋の中を映すショットが多くて、最後は部屋の中から窓を閉める場面で終わる。

「没後50年 成瀬巳喜男の世界」
アノ

アノの感想・評価

3.2
成瀬の芸道物では落ちる方だと思う。
成瀬巳喜男監督の1944年作品であり、戦時色が強い映画。 
しかし、そんなプロパガンダっぽい映画であるが、これが素晴らしい感動作であった。 

「芝居の道」を突き詰めさせたい座長が、若くて自惚れ強い役者を大阪から東京に修行に出すが、その陰ではその役者と恋仲だった女が辛い思いをしながら待つ。この女が山田五十鈴。すごく良かった。 

素晴らしい映画だったので、2回観てしまった。
Taul

Taulの感想・評価

3.0
『芝居道』(1944)成瀬巳喜男。戦前の傑作『鶴八鶴次郎』の長谷川一夫、山田五十鈴と再び組んだ芸道もの。2人に加え古川緑波の渋い役もはまった。中古智の立派なセットでまさにしっかりとした画に。戦争末期の辛抱や清貧プロパガンダだが各仕事が立派で芸と人情の映画として見事に自立している。