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たとえ世界が終わってものBaadのレビュー・感想・評価

たとえ世界が終わっても(2007年製作の映画)
3.7
レンタルDVDで。
丁寧に作られた佳作です。

東京のユーロスペースではヒットしたらしいですが、もともとが深夜ドラマの3部作のひとつとしての企画から始まったということもあって、映画館で観ると少し物足りない部分があるのではないかと思います。自宅の小さな画面で見ると丁度良いスケールですがそれでもTV的な感じが残っていたりもして、少し物足りなくもあるのですが、作った人たちの思いが伝わって来る良い作品なのは間違いないのだから、まあ、いいや。

病気を気に病んで死を考えていたOLがふとしたきっかけから生きるよすがを見いだす物語ですが、そのきっかけをもたらした自殺サイト&アパートの管理人を演ずる大森南朋がいい味を出しています。前世に縁があった人にしか部屋を貸さないという設定が面白いし、立ち直るきっかけとなるほんの一瞬の恋の進み方がとても静かであるところが素敵です。

ヒロインの芦名星も「シルク」よりずっといい演技をしています。京阪間のお嬢様のような雰囲気があり、内省的で芯の強そうな女優さんです。

静かで美しく、ユーモアのある作品です。他の2篇も映画でなくてもいいですから、いつか映像化したものを見たいと思います。

(生きるよすが 2008/8/30記)
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