keith中村

ベスト・キッド2のkeith中村のレビュー・感想・評価

ベスト・キッド2(1986年製作の映画)
3.0
 公開当時から、いや、テレビの予告編だけでも「1980年代の現代において、この日本描写はないだろう」と思った怪作。
 でも、楽しいからOK!
 
 パット・モリタの宮城さんのキャラが一作目から素敵すぎるので、どんな瑕も帳消しにできてしまうが、それにしても宮城さんの背景が杜撰すぎるとは思う。
 一作目では日系の1世なのか2世なのか明言されてないんだけれど、酔っぱらって、「サージェント・ミヤギはドイツ兵をたくさん殺しました!」なんて叫ぶシーンがあるので、2世だと解釈できる。それにしちゃあ、英語が下手すぎるんだけど。
 古典西部劇のインディアンかE.T.レベル。これに較べたらヨーダのほうが遥かに上。ってか、ヨーダは、文法や発音はしっかりしてるもんな、変な倒置法を使うだけで、基本的に(と、この文も変な倒置法にしてみた)
 
 本作では明確に、渡米した日系1世であることがわかるので、一作目の設定と矛盾しちゃう。
 日系2世は当時の米軍にいたけれど、1世は米軍で軍曹になれないぞ!
 それこそ、一作目の奥さんのように強制収容所送りだったわけだ。
 
 その奥さんも、本作で矛盾ポイントになっちゃった。ギリ好意的な解釈すると、「ユキエさんへ思いを振り切って日本を飛び出したんだけれど、実はアメリカ本土ではなくハワイに上陸。そこで1作目の奥さんと電撃できちゃった結婚! 宮城さんは従軍するんだけれど、奥さんとお腹の子供は合併症で死亡」ってこと。いやあ、やっぱそれも無理があるわなあ。
 さっき書いたみたいに従軍はあり得ないし。
 
 本作でのさらなる問題点は、一作目で宮城さんの英語を極度に下手にしたせいで、40年以上アメリカで暮らした宮城さんよりも沖縄の人々のほうが英語が上手いってこと。まあ、沖縄チームもわざと下手に喋ってるんだけれど、それでも宮城さんより全然上になっちゃってる。
 
 宿敵サトウさんとは、互いに10代だった戦前以来初めて会うのに、ずっと英語で会話してるのも観てて落ち着かない。
 というか、本作でいちばん驚嘆すべきことは、サトウさん、「佐藤」って漢字で服にまで縫い付けてあるのに、これ実は苗字じゃなくて下の名前なんだよ!
 「渡口サトウさん」なんだよね、この人。
 甥っ子は「渡口チョウゼン」。"chosen"「選ばれしもの」って意味かな?
 全然「超然」としてない卑怯者だったけどね!
 
 葬式なのに精霊流ししたり、沖縄なのに意味不明な盆踊り踊ってるとか、そういうのは我々には逆に笑いどころなんで、割り切って楽しみましょう!
 もちろん、終盤の決戦は劇中のみんなと同じくデンデン太鼓を振って(持ってないならエアでもいいぞ!)応援しながら観ましょう!