鶴瓶さんの演技の上手さは「スジナシ」で知っていたけれど、救急医療処置後の呆けたような表情や、瑛太扮する若い医者に向けた諦めの笑みなどは他の俳優さんでもできないのではないだろうか。
映画のラストだけど、正直スッキリするものではなかった。
同監督の「ゆれる」も観客にその後を委ねていたけれど、今回の映画はその良し悪しも任されている。
当然、簡単に判断できるものならスッキリするのであって、そうではないから難しい。
各人物のその後は決して暗い結末を暗示させてはいない。それでもめでたしめでたしとは思えない。「伊能先生は結局、どういう存在だったのだろう」と登場人物同様、観ている自分も考えずにはいられないのだ。
重苦しい雰囲気をだしすぎず、観ている人の心に残る見ごたえのある映画だった。