ピナコ

八月の鯨のピナコのレビュー・感想・評価

八月の鯨(1987年製作の映画)
4.2
"8月の気分なの"
また季節外れの映画です。

でも目を閉じてみて下さい。

夏の日の午後
人の少ない浜辺
ゆれる木陰
時折吹く気持ち良い風
日傘、サンダル、
つばの広い帽子
白いハンカチ

それとも夕暮れ
時間が止まる…

なんとなく懐かしい風景が浮かんで来ませんか?

話は…
人生の晩年を浜辺の家で暮らす姉妹
病気により目が見えなくなった姉を世話する妹
見えないこともありなげやりで頑なな姉
でも妹が旦那さんを亡くしたときには面倒を見てくれた姉

少しの意見の違いはあるがお互いに分かり合い生きている。
もう長くないであろう将来を好きな場所で一緒に…。


姉役ベティ・デイヴィス
撮影当時79歳
『イブの総て』やトラウマになりそうな『何がジェーンに起こったか?』は観てみたい映画だ。

妹役リリアン・ギッシュ
サイレント映画時代からの女優さん
15歳年上ですが妹を演じています。撮影当時93歳には見えません。

近所にすむ紳士な男性は
ヴィンセント・プライス
『シザー・ハンズ』の発明家の役の方でした。

人生を懐かしみ晩年を静かに時に悲しく暮らしている人達の映画。
でも死ぬまで生きていかなきゃ。


この映画は姉が大好きでした。

以前に姉は年齢を経てあんな姉妹でいたい…と言っていた。
でもまだその時私はこの映画の良さが分からず
『そう…』となにげなく言ってしまった。

それから
姉がまさか私を置いて旅立ちました。
このレビューを書き込んでいるだけで涙がでます。
今この映画を観て姉の気持ちが分かり私もまた同じ気持ちです。

大好きな映画の話を私と沢山していました。
映画が大好きだった姉へ…。


寂しいですが
今はfilmarksで皆さんとお話させてもらっています。
ありがとうございます。
ピナコ

ピナコ