公開時以来の再見。
この歳になってから改めて観ると、しみる〜&自分ごととして考える〜!
若い時には爺さんと婆さんの映画で、
まあいいお話だな、程度だった。
作品が自分の外にあった。
でも、今は身内の話であり、自分の話でもある。完全に内なる物語になっている。
何も起こらない映画です。
人物はワンシーン出てくる不動産やを除いて5人のババ&ジジのみ。
2人のお婆さんが海辺の家に住んでいる。
妹はまだ元気で家事などこまめに動ける。
一方姉は盲目で介護なしには生活できない。
ベテイ・ディービス演じるこの老婆が皮肉やでネガティブで頑固
この老人、すげ〜分かる。身につまされる。
老人のある種特有の感じ。
歳をとって、自ら、この感情と闘うのって、とても大変なんだなって、つくづく思う。
死や老いへの恐怖、
過去の懐かしさとともに押し寄せる虚しさ、
それらを昇華させる、代償させるものが全くなく、身内に当たり散らす
こうなりたくはないと思いつつ、なってしまった人を責めることはできないなあ、
だって、それも含めて「老い」なんだろうから。
この映画、姉妹が若い頃、入江で鯨を見て、はしゃぐシーンが最初に出てくる。
その後、姉妹の回想シーンは一切出てこない。2人とその共通の友人の会話では過去を振り返るのだが。
ここらへんが粋ですよね〜
観客は、年老いた姉妹の会話とさりげなく写し出される遺影とファーストシーンを頭の中でくっつけようとする。
それによって、姉妹の人生をより深く思おうとするのだと思う。
感動巨編ではないけど、静かな静かな作品だけど。しみじみ人生を感じさせる良作でした。
リリアン・ギッシュは撮影時に93歳!ちょっと恥らうところとか、何たる可愛さ、何たる演技力!
若い頃から彼女を観てきた淀川長治さんが絶賛するのも分かりますね。