おさかなはフィッシュ

八月の鯨のおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

八月の鯨(1987年製作の映画)
3.0
「ふいてもふいても埃ばかり」。
これから先もずっと、私はそうやって日々の埃を払っていけるだろうか。思わずそう考えてしまった。

おしゃれで明るい友人が言うには「面倒を乗り越える その繰り返しが人生よ」と。
目の前のことを気負わずに、一つ一つ片付けていくのがやはり大切なのかなあ。

幼いサラが言ったことには「鯨が季節を変える」という。
鯨がしっぽで北極の風を運んでくるのだそうだ。
いくつになっても素直な心で、次の季節の到来を待ち望むこと。
素敵だなあ…。



窓の外で風に吹かれる花々を見て、稚内の砂浜に咲くハマナスを思い出した。
潮風にも強く咲く花。きれいで育ちの良い、そんなことに憧れがあって、そのたくましさがどうにも好きになれなかったけれど、今ではもう愛せる。



わが妹とだったら、“八月の木苺”かしら…。
夏休みに泊まりに行った祖母の家。「外になっているものが食べられるなんて!」と、二人でわくわくしながら木苺を摘みに出かけた思い出。
おばあさんになってもふざけ合える仲だといいなあ。



さっきまで可憐な少女を演じていたリリアン・ギッシュが、今度は可愛らしいおばあさんに。
時代はサイレントからトーキーへ、モノクロからカラーへ。
目眩くような半世紀を、人の一生を、たったの数時間で目撃してしまった。
なんだか不思議な気分だ…。