Wakana

八月の鯨のWakanaのレビュー・感想・評価

八月の鯨(1987年製作の映画)
4.0
去年の春、友人に教わったバー「八月の鯨」に行ってこの映画に興味を持って観たけれど、全く分からなかったのが一回目。
で、リベンジ・マッチが今回の「午前10時の映画祭」にて。
そもそもわたしが一回で良さが理解できる映画なはずがなかった。

そのバーに行った時は、大衆居酒屋ではなく初めて〈バー〉でお酒を飲んだ時だった気がする。
雰囲気が素敵で、映画の名前のカクテルを飲んで、ああ自分はなんて大人になったんだろう!みたいな、自分に酔っちゃう体験でしかなかったような。
友達がマティーニを頼んだ時は、わたしもこれがあのマティーニ!と思ったし、オリーブを美味しそうに口に含むのに憧れてたし、とにかくきゃっきゃしてたら、バーテンさんが「これ強いお酒なんですよ、本当に大丈夫ですか?」なんて心配してくれて、お酒と一緒にコップ一杯のお水まで置いていったという、周りから見ればちょっとしょっぱい経験をしたバー(でもそれを含めても間違いなく楽しかった思い出の一つ)。

話が逸れたけど、とにかく初めて観た時はどうしてこの映画にちなんで名付けたか分からなかった。
渋谷とメーン州の田舎の島は不釣り合いのように感じたし、年配の方がひっそりと質素に生活している場所とはとても違ったし、そもそも「八月の鯨」といいながら看板はトトとアルフレードが自転車載ってるシーンだし。

でもフェスやイベントに参加して、たくさんお酒を飲んで、大声で会話して、ガンガンの音楽でダンスすることより、人が少ない自然溢れるところに行って、のんびり芝生に横になるのも悪くないと思うようになった。
というか実際にそうゆう楽しみ方も楽しいと思うようになった。
だから人で溢れかえる渋谷のセンター街に、メーン州の田舎の島がぽつんとあるのも悪くないのかもな。

セーラが殉職した夫を思い返す時のシーンでの、「人生において必要なものは、情熱と真実」という言葉には参ってしまった。
盛者必衰を感じる雰囲気の映画だったけれど、その二つがあれば身体的に衰えたとしても、豊かな人生と言えるのかもしれない。
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