Ash国立ホラー大学院卒論執筆

わらの犬のAsh国立ホラー大学院卒論執筆のレビュー・感想・評価

わらの犬(1971年製作の映画)
4.3
【究極の暴力映画】

静かな環境を求め、アメリカからイギリスの片田舎に引っ越したサムナー夫婦。しかしそこでは、よそ者を嫌う村人達の壮絶な嫌がらせが待ち受けていた…

暴力に大義や仁義などの"立派な理由"を与えてしまうとつまらない。鮮血にぬれた床や飛び散った肉塊に胸を張って言い訳が出来てしまう。

とは言え、ただの悪漢が人を襲うのを描くのは普通過ぎる。巧妙なストーリーで暴力性の純度を高めた今作は、暴力映画の中の暴力映画だ。

怒りを顕にする爽快さや暴力の悦びを無理のない動機で主人公から引き出す展開は見事。人間の心の奥底に燻る"何か"をさらけ出す、覚醒というよりか"脱皮"に近いような気もする。「人の皮を被った悪魔」それは誰に対しても言えるのかも知れない。