ムラサキシャチホコ

わらの犬のムラサキシャチホコのレビュー・感想・評価

わらの犬(1971年製作の映画)
3.7
ダスティンホフマンの奥さんこの村には刺激強すぎでしょってオープニングのイギリス片田舎の話。閉鎖的というより完全に閉じてる。サムペキンパーの映画って男の哀愁とか渋さとか大抵あんのに、これはずーっとイヤーな感じが通奏低音みたいに続いてる。かの有名なレイプの場面もたしかにエロいんだけど、胃の中に消化しない何かが残ってるような気持ち悪さが離れない。レイプの場面が終わった後も気持ち悪さが離れない。そんでどんどんどんどんぐるぐるぐるぐる狂ってくる。そうだな。球体の内側で真っ黒なコールタールをタイヤにつけた車が走ってて出口がないままぐるぐる走ってるうちに速度も増して、そのうち球体の内側もコールタールでどろどろ真っ黒になっちゃうようなイメージだわ。結局ダスティンホフマンは狂っちゃったのかい?それともカッコよくなったのかい??ってモヤっとした気持ちになってたら、ご本人も自分がどうなったかわかんないような事言ってたんで、それはそれでペキンパーの思惑通りに誘導されてんのかな。あの場面ですっと毒が抜けるような気持ちになるとこがニクいな。一番とばっちりで気の毒な知的障害の朴訥な青年、戦争のはらわたの青年将校役はエライかっこよかったのに役者ってすごいんだな。
前に買ったきり封も開けずに何となく見る気がしなかったペキンパー作品。ようやく見てみたら今まで見たペキンパーの中で一番ヤバいやつだった。